【夢のエネルギー】核融合とは何か?仕組みや歴史、日本の事例をわかりやすく解説

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まりか | 【近未来ブログ】DXのすこし先へ

【著者名】"まりか"

神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。

外資系大手証券会社で、アナリストとして海外情勢やブロックチェーン技術についての調査・コンサルタント業務に従事。
5年間の業務の後に、AI・ブロックチェーンのベンチャー企業に「マーケティング責任者(CMO)」として参画。

Web3.0、仮想通貨、AI活用などのマーケティング業務を行う。2年前に独立・起業。現在は、在宅で中小企業向け「DXコンサルタント」をしながら、黒猫とのんびり暮らしています。

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【夢のエネルギー】核融合とは何か?仕組みや歴史、日本の事例をわかりやすく解説

こんにちは、まりかです。今回は、核融合についてわかりやすく解説した記事をお届けします。

核融合とは、太陽や星のエネルギー源となっている反応のことです。軽い原子核を高温・高圧の状態でぶつけ合わせて重い原子核にすると、大量のエネルギーが放出されます。このエネルギーを利用すれば、化石燃料に頼らないクリーンで安全な発電が可能になります。

しかし、核融合を地球上で実現するには、非常に高度な技術が必要です。1960年代から世界中の物理学者たちが挑戦してきましたが、まだ実用化には程遠いのが現状です。

では、なぜ核融合はそんなに難しいのでしょうか?そして、核融合の研究はどのように進んでいるのでしょうか?

この記事では、核融合の仕組みや歴史、日本の事例などを紹介しながら、核融合の魅力と課題について解説していきます。

核融合は人類の未来を変える可能性を秘めた夢のエネルギーです。ぜひ最後までお読みください。

核融合の仕組み

では、まず核融合の仕組みについて見ていきましょう。核融合は、軽い原子核を重い原子核にする反応です。このとき、原子核の質量が少し減ります。この質量の差がエネルギーに変わります。

このエネルギーはアインシュタインの有名な式、E=mc2で表されます。ここで、Eはエネルギー、mは質量、cは光速です。光速は非常に大きい数なので、少しの質量でも大きなエネルギーになります。

核融合で使われる原子核

核融合で最もよく使われる原子核は水素です。水素にはプロトンと呼ばれる陽子が1個だけ入っています。水素にはさらに3種類あります。

通常の水素と、中性子と呼ばれる中性粒子が1個入った重水素(デューテリウム)、中性子が2個入った超重水素(トリチウム)です。これらの水素を組み合わせて核融合させると、ヘリウムという別の元素になります。ヘリウムはプロトンが2個、中性子が2個入っています。

核融合の反応式

重水素 + 重水素 → ヘリウム3 + 中性子 + エネルギー

重水素 + 超重水素 → ヘリウム4 + 中性子 + エネルギー

ヘリウム3 + ヘリウム3 → ヘリウム4 + 重水素 + 重水素 + エネルギー

これらの反応で出来たヘリウムや中性子は、さらに他の原子核と反応してエネルギーを生み出すことができます。このようにして、連鎖的に核融合が進んでいきます。

しかし、核融合を起こすには、原子核同士を強くぶつけ合わせる必要があります。原子核は正の電気を持っているので、近づけると反発し合います。

これを克服するには、原子核を高温・高圧の状態にする必要があります。高温にすると、原子核は高速で動き回ります。高圧にすると、原子核は密集します。この状態では、原子核同士が衝突する確率が高くなります。

しかし、高温・高圧の状態を作ること自体が非常に難しいです。地球上では自然に起こることはありません。太陽や星では、重力が強く働いて高圧を作ります。しかし、地球上では人工的に高圧を作る方法が限られています。

そこで考えられた方法が、「磁場」を使う方法です。磁場とは、電気や磁石から発生する力の範囲です。磁場を使えば、高温・高圧の物質を空間に浮かせて固定することができます。これを「プラズマ」と呼びます。プラズマは電気を通す性質があります。そのため、磁場によって制御することができます。

プラズマとトカマク

プラズマを作って核融合させる装置を「トカマク」と呼びます。トカマクはロシア語で「環状の真空容器」という意味です。トカマクはドーナツ型の容器の中に磁場を作り、プラズマを閉じ込めます。プラズマは高温になると膨張しますが、磁場によって押さえられます。このようにして、プラズマを安定させて核融合させることができます。

トカマクは現在、核融合研究の主流となっています。世界中の多くの国がトカマクを開発しています。

日本でも、茨城県にある核融合科学研究所で「JT-60」というトカマクが運用されています。JT-60は1985年から稼働し、多くの核融合実験に貢献してきました。

現在は「JT-60SA」という改良型のトカマクに更新されています。JT-60SAは日本と欧州連合(EU)の共同プロジェクトであり、2020年に完成しました。

JT-60SAについて

JT-60SAは、世界最大級のトカマクです。直径は6.6メートル、高さは11.1メートルあります。プラズマの温度は1億度以上になります。JT-60SAの目的は、核融合反応を持続的に発生させる条件を探ることです。これによって、核融合発電所の設計や運用に必要な知識や技術を得ることができます。

JT-60SAは、フランスに建設中の「ITER」という国際的なトカマクと連携しています。ITERは日本やEUだけでなく、アメリカや中国など7つの国や地域が参加しています。

ITERは2025年に完成予定であり、2035年に核融合反応を始める予定です。ITERは、核融合反応で得られるエネルギーが入力したエネルギーの10倍以上になることを目指しています。

これを「エネルギー倍率Q=10」と呼びます。これが達成されれば、核融合発電所の実現に大きく近づくことができます。

私は特にプラズマの制御や診断に関心があります。プラズマの制御とは、プラズマを安定させて核融合反応を効率的に起こす方法を考えることです。プラズマの診断とは、プラズマの温度や密度などの物理的な状態を測定する方法を考えることです。

核融合の魅力

私が核融合研究に魅力を感じる理由が2つあります。

1つ目は、核融合が人類のエネルギー問題を解決する可能性があるからです。化石燃燃料は環境に悪影響を及ぼし、枯渇の危機にも直面しています。核融合は水素を原料とし、放射性廃棄物や温室効果ガスをほとんど出しません。

また、水素は海水から取り出すことができるので、資源として豊富です。核融合が実用化されれば、安定的に大量のエネルギーを供給することができます。これは人類の福祉や発展に大きく貢献すると思います。

2つ目は、核融合が物理学の最前線であるからです。核融合は高温・高圧・高密度のプラズマという極限状態を扱います。

このような状態では、通常の物理法則が通用しないことがあります。プラズマは非常に複雑で予測しにくい現象を起こします。これらの現象を理解するためには、新しい物理理論や数学モデルが必要です。私はこのような難問に挑戦することが好きです。核融合研究は私に新しい知識や発見を与えてくれます。

私は核融合が夢ではなく現実になる日を信じています。その日が来るまで、核融合の魅力を伝えていきたいと思っています。

まとめ

この記事では、核融合とは何か?仕組みや歴史、日本の事例をわかりやすく解説しました。

核融合は人類の未来を変える可能性を秘めた夢のエネルギーです。しかし、その実現にはまだ多くの課題があります。核融合研究は国際的な協力や長期的な視点が必要です。私たちは核融合研究を応援し、支援し、関心を持ち続ける必要があります。

あなたも核融合に興味を持ってくれたら嬉しいです。もっと詳しく知りたい方は、以下の参考文献やリンクをご覧ください。また、ご意見やご感想などがありましたら、コメント欄にお書きください。最後までお読みいただきありがとうございました。

よくある質問と答え

1. Q: 核融合とは具体的にどのような反応ですか?

A: 核融合は、軽い原子核が高温・高圧の状態で合体して、より重い原子核を作り出す反応のことを指します。この過程で大量のエネルギーが放出されます。太陽のエネルギーもこの核融合反応によって生成されています。


2. Q: 核融合の歴史や進展について簡単に教えてください。

A: 核融合研究は、1950年代から積極的に始まりました。冷戦時代には、核融合の原理を利用した水爆の開発も行われました。平和利用の研究としては、磁場閉じ込めや慣性閉じ込めという2つの主要なアプローチが研究されてきました。近年では、国際的な共同プロジェクトであるITERが進行中で、商業化に向けた大きな一歩となっています。


3. Q: 日本における核融合研究の事例や取り組みはありますか?

A: 日本でも核融合研究は積極的に行われており、特に磁場閉じ込め方式におけるJT-60という大型の実験装置が知られています。また、日本はITERプロジェクトの参加国の一つとして、技術や資金を提供しています。


4. Q: 核融合が「夢のエネルギー」と呼ばれる理由は何ですか?

A: 核融合は、理論上はほぼ無限ともいえる融合燃料(例: 重水素、三重水素)を利用でき、放射性廃棄物の発生が少なく、CO2の排出がないクリーンなエネルギー源としての潜在能力があるため、「夢のエネルギー」と称されます。


5. Q: 核融合エネルギーが実用化された場合、従来のエネルギー源と比べてどのようなメリットがありますか?

A: 核融合が実用化されると、持続的で大量のエネルギーを供給可能となるほか、温室効果ガスの排出が極端に少なく、放射性廃棄物の問題も大幅に緩和されるとされています。これにより、環境問題への対応やエネルギーセキュリティの向上など、多岐にわたる利点が期待されます。

参考文献

– 『核融合入門』 山本義隆 東京大学出版会 2018年

– 『太陽エネルギー発電所―地球上で太陽をつくる』 小川智之 岩波書店 2019年

– 『核融合―夢のエネルギー源』 ジョン・シェフィールド 田中正明訳 丸善出版 2020年


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