CBDC=中央銀行デジタル通貨を徹底解説!メリット・デメリットから今後の展望まで

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まりか | 【近未来ブログ】DXのすこし先へ

【著者名】"まりか"

神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。

外資系大手証券会社で、アナリストとして海外情勢やブロックチェーン技術についての調査・コンサルタント業務に従事。
5年間の業務の後に、AI・ブロックチェーンのベンチャー企業に「マーケティング責任者(CMO)」として参画。

Web3.0、仮想通貨、AI活用などのマーケティング業務を行う。2年前に独立・起業。現在は、在宅で中小企業向け「DXコンサルタント」をしながら、黒猫とのんびり暮らしています。

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まりか
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この記事の要約です♫

CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは何か? 仕組みやメリット・デメリットを解説。各国の最新動向と、デジタル通貨がもたらす未来の姿を専門家が徹底考察。利便性と課題、これからの展望まで、わかりやすくお伝えします。

こんにちは、まりかです。今日は、最近よく耳にするようになった「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」について、わかりやすく解説していきたいと思います。

私は、大学卒業後、外資系証券会社でアナリストとして勤務し、その後AI・ブロックチェーンのベンチャー企業でマーケティング責任者を務めてきました。現在は、フリーランスのDXコンサルタントとして活動しています。そんな私が、CBDCについて、自身の経験や知見を交えながら、初心者の方にもわかりやすく丁寧にお伝えしていきます。

CBDCとは一体どのようなものなのでしょうか? どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか? そして、これから先、CBDCはどのように普及していくのでしょうか? こうした疑問について、一緒に考えていきましょう。

第一部:CBDCとは何か? その定義と仕組みについて

CBDCとは、「Central Bank Digital Currency(中央銀行デジタル通貨)」の略称で、文字通り、各国の中央銀行が発行するデジタル通貨のことを指します。

現在、私たちが日常的に使っているお金は、紙幣や硬貨などの現金と、銀行預金などのデジタルマネーの2種類に大別できます。このうち、現金は日本銀行が発行していますが、デジタルマネーは民間の銀行が管理しているものです。

一方、CBDCは、中央銀行が管理する「デジタル通貨」という点で、既存のデジタルマネーとは異なります。中央銀行が信用を担保することで、より安全で信頼できる決済手段になると期待されているのです。

CBDCのしくみ

CBDCは、ブロックチェーン技術を活用して発行・管理されます。ブロックチェーンとは、取引記録を複数のコンピュータで分散管理する技術で、暗号化により安全性が高いことが特徴です。

各国の中央銀行は、自国通貨建てのCBDCを発行します。利用者は、専用のウォレット(電子財布)にCBDCを保管し、QRコードや口座番号などを使って、個人間や企業との間で決済を行うことができます。

また、CBDCでは、プログラム可能な通貨設計が可能だと言われています。つまり、お金の利用目的や条件を予めプログラミングしておくことで、例えば補助金の適切な使い道を制限したり、期限を区切って使えなくしたりといった、きめ細やかなコントロールができるようになるのです。

こうしたCBDCの仕組みを簡単に示すと、以下のようなイメージになります。

  1. 中央銀行がCBDCを発行
  2. 利用者がCBDCウォレットを開設
  3. 利用者がCBDCを受け取り、保管
  4. 利用者間でCBDCを送金・決済
  5. 取引記録がブロックチェーン上に記録される

CBDCは、私たちにとって身近な存在となる可能性を秘めた、新しい決済の仕組みだと言えるでしょう。

第二部:CBDCのメリット〜利便性の向上や金融包摂の実現など

CBDCには、私たち利用者にとって、さまざまなメリットがあると考えられています。ここでは、その主なメリットについて見ていきましょう。

利便性の向上

現金の持ち運びや管理のわずらわしさから解放されることが、CBDCの大きなメリットの1つです。スマートフォンさえあれば、いつでもどこでも簡単に決済ができるようになります。 また、CBDCでは少額決済にも適していると言われており、例えば1円単位での支払いにも対応可能です。 現金だと1円玉を大量に持ち歩くのは難しいですし、クレジットカードでは手数料の問題から少額決済への対応は限られています。 その点、CBDCなら、こうした少額決済のハードルを下げることができるでしょう。

金融包摂の実現

CBDCのもう1つの大きなメリットとして、金融包摂の実現が挙げられます。金融包摂とは、経済的に不利な立場にある人々も含めて、あらゆる人々に金融サービスへのアクセスを提供することを意味します。

現在、世界には銀行口座を持たない成人が17億人以上いると言われており、貧困や差別などが原因で金融サービスから取り残されている人が多く存在します。 こうした人々にとって、口座開設の手間が不要で、スマートフォンさえあればアクセス可能なCBDCのようなサービスの登場は、朗報となるはずです。

実際に、バハマ中央銀行は2020年10月、世界に先駆けて自国のCBDCである「サンドダラー」の運用を開始しました。 バハマでは、国土が700以上の島々に分散しており、金融サービスが行き届いていない地域が多く存在していました。 サンドダラーの導入により、国民誰もが平等に金融サービスにアクセスできる環境の整備が進められています。

送金コストの削減

国際送金には、今なお高いコストがかかるのが実情です。世界銀行のデータによると、2020年の世界の平均送金コストは6.8%で、国連が目標とする3%を大きく上回っています。 その背景には、為替手数料や中継銀行手数料など、さまざまな費用が積み重なっている構造があります。

CBDCを活用することで、こうした煩雑な手続きや仲介業者を省略し、送金コストを大幅に引き下げることが可能になります。 ブロックチェーン技術の特性を活かせば、国境を越えた送金であっても、スピーディかつ安価に処理することが可能だからです。

金融政策の有効性向上

CBDCは金融政策の有効性を高める可能性も秘めています。 例えば、個人や企業のCBDCウォレットの残高に応じて、直接的に利子を払ったり、マイナス金利を適用したりすることが可能になります。 また、景気対策として給付金を配る際にも、CBDCを活用すれば迅速かつ的確に実行できるでしょう。

実際、中国人民銀行は2020年10月、深圳市で1,000万人を対象としたCBDCの実証実験を行いました。 抽選で選ばれた5万人の市民に、人民元建てのデジタル通貨「DCEP」が配布され、参加店舗での買い物に利用されたのです。 このように、CBDCは金融政策の新たな選択肢を提供してくれる存在として期待されています。

第三部:CBDCのデメリット〜プライバシー侵害や技術的ハードルなど

前の部ではCBDCのメリットを見てきましたが、一方でデメリットもいくつか指摘されています。ここでは、そうしたCBDCの課題について考えてみましょう。

プライバシー侵害の懸念

CBDCに対する最も大きな懸念の1つが、プライバシー侵害の問題です。 現金決済では個人の取引履歴を追跡するのは困難ですが、CBDCでは中央銀行がすべての取引データを管理することになるため、個人の金銭的なプライバシーが侵害される恐れがあるのです。

この問題について、アメリカの著名な経済学者であるジェフリー・サックス氏は次のように警鐘を鳴らしています。

「CBDCが実現すれば、個人の自由は脅かされる。なぜなら、政府が国民のすべての取引履歴を把握できるようになるからだ」

たとえば、政府に批判的な活動をしている人物への支払いを、政府が恣意的にブロックするようなことも、技術的には可能になってしまうのです。 プライバシーとCBDCのセキュリティのバランスをどう取っていくかは、大きな課題だと言えるでしょう。

技術的なハードルの存在

CBDCの実現には、まだ多くの技術的なハードルが立ちはだかっています。 特に、膨大な取引データをリアルタイムで処理するためには、既存のインフラでは対応しきれない可能性があります。

国際決済銀行(BIS)が2021年に発表したレポートでは、 「CBDCシステムは、少なくとも1日当たり30万件以上の取引を処理できる必要がある」 と指摘されています。 中央銀行の役割は「通貨の価値の安定」であり、決済インフラの運営は民間企業に任せるべきだという意見もあり、新たなインフラ整備をめぐっては議論が分かれているのが実情です。

サイバー攻撃のリスク

CBDCには、ハッキングなどのサイバー攻撃に対する脆弱性も指摘されています。大量の通貨が集中管理されるCBDCシステムは、悪意を持った攻撃者にとって魅力的なターゲットになる可能性が高いのです。

実際、2018年には仮想通貨交換所コインチェックから580億円相当の仮想通貨NEMが流出する事件が発生し、大きな問題となりました。 こうしたリスクは、CBDCにおいても無視できない重要な課題の1つだと言えるでしょう。 安全性の高い暗号化技術の採用など、セキュリティ対策の徹底が求められます。

通貨主権の問題

CBDCは「通貨主権」の問題とも密接に関わってきます。 諸外国との貿易決済などにCBDCが用いられるようになると、為替変動の影響を受けにくくなるメリットがある一方で、自国の金融政策が制約を受ける事態も想定されるのです。

例えば、仮に日本の商店が中国のCBDCである「デジタル人民元」を受け入れるようになったらどうでしょうか。 その場合、日本円の価値が不安定になったとしても、商店側はデジタル人民元を選好するかもしれません。 こうした事態に対して、国家はどのように対処すべきなのか。通貨主権という観点からの議論も重要になってくるはずです。

以上のように、CBDCには、プライバシーや安全性、国家の主権など、まだ多くの課題が残されています。 メリットを生かしつつ、デメリットを克服する方策を探っていくことが、各国に求められる重要な宿題だと言えるでしょう。

第四部:CBDCの今後の展望〜各国の動向と将来のビジョン

CBDCは、今なお開発途上の技術であり、その将来像を明確に描くことは容易ではありません。 しかし、各国中央銀行による活発な議論と実証実験が進められていることからも、CBDCへの期待の高まりをうかがい知ることができるでしょう。 ここでは、各国のCBDCをめぐる最新の動向を踏まえつつ、今後のCBDCの展望について考えてみたいと思います。

各国の動向

CBDCへの取り組みは、世界各国に広がりを見せています。 国際決済銀行(BIS)が2021年1月に発表した調査によると、調査対象の65中央銀行のうち86%が、CBDCに関する何らかの作業を行っていると回答しています。 特に、中国やスウェーデン、バハマなどでは、すでに実用化に向けた実証実験が進められているのが特徴的です。

中国人民銀行は2014年からCBDCの研究を開始し、2020年には深圳市、蘇州市、雄安新区、成都市でのテストを実施。 2022年の北京冬季オリンピックでも、選手村を中心にデジタル人民元の利用が予定されるなど、実用化に向けた動きが加速しています。

スウェーデンでは、現金離れが世界で最も進んだ国の1つであることを背景に、CBDCへの関心が高まっています。 リクスバンク(スウェーデン中央銀行)は2020年2月、デジタル通貨「e-krona」のパイロットプロジェクトを開始。 法的枠組みの整備など、実現に向けた課題の洗い出しが進められています。

そのほかにも、シンガポールや韓国、カナダなど、多くの国々でCBDC構想が進行中です。 各国とも自国の事情を踏まえつつ、CBDCの可能性を模索している最中だと言えるでしょう。

将来のビジョン

私は、今後10年から20年の間に、CBDCが私たちの生活に広く浸透していくだろうと予想しています。 その最大の理由は、キャッシュレス化の流れが世界的に加速していることです。 スウェーデンのように、現金の利用が極端に少ない国も出てきており、デジタル通貨へのニーズは確実に高まっているのです。

また、ブロックチェーン技術の進歩も、CBDCの普及を後押しする要因になるはずです。 取引の透明性や安全性が向上することで、利用者の信頼を獲得しやすくなるでしょう。 さらに、スマートコントラクトとの連携により、CBDCの利便性も飛躍的に高まると期待できます。

一方で、各国のCBDCが「国際標準」とは異なる独自の仕様で開発された場合、相互運用性が損なわれるリスクもあります。 国際的な決済や送金の障壁となってしまっては本末転倒です。 国際的な連携と調和を図りつつ、CBDCのグローバルスタンダードを確立していくことが重要だと考えています。

将来的には、CBDCが民間事業者の創意工夫を促し、新たな金融サービスが次々と誕生する世界が訪れるかもしれません。 同時に、金融政策の選択肢が広がることで、景気対策の精度も高まることが期待されます。

もちろん、プライバシー保護など、まだ多くの課題は残されています。 しかし、各国の英知を結集させることで、CBDCはよりよい社会を実現するための力になるはずです。 我々は今、歴史の大きな転換点に立ち会っているのかもしれません。

よくある質問

初心者の方から寄せられるCBDCに関する代表的な質問とその回答を、以下の5つにまとめてみました。

Q1. CBDCと既存の仮想通貨の違いは何ですか?

CBDCと既存の仮想通貨の最大の違いは、「発行主体」にあります。 CBDCが中央銀行によって発行されるのに対し、ビットコインなどの既存の仮想通貨は民間の開発者によって発行されています。 また、CBDCには法定通貨としての価値が保証される一方、既存の仮想通貨は投機的な価格変動が大きいことが特徴です。 中央銀行の信用力を背景とするCBDCは、より安定した価値を持つデジタル通貨だと言えるでしょう。

Q2. CBDCを利用するには、専用のアプリやウォレットが必要ですか?

CBDCの利用方法は、各国の実装方式によって異なります。 ただ、基本的にはスマートフォンにCBDC専用のアプリやウォレットをインストールする必要があるでしょう。 利用者は、銀行口座からCBDCウォレットにチャージを行い、QRコードなどを用いて決済を行うことになります。 専用のハードウェアウォレットが必要になるケースもあるかもしれません。 いずれにせよ、CBDCを利用するためのITリテラシーは、ある程度必要になると考えられます。

Q3. CBDCを利用する際、手数料はかかりますか?

CBDCの手数料については、まだ確定的なことは言えません。 ただ、既存の決済手段と比べて、はるかに低コストでの運用が可能だと考えられています。 中央銀行がCBDCの基盤を提供することで、民間の決済サービスにかかっていた手数料を大幅に引き下げられるためです。 また、ブロックチェーン技術を活用することで、取引の確認作業などにかかるコストも削減できます。 したがって、利用者が負担する手数料は、現在よりもかなり安価になるのではないでしょうか。

Q4. CBDCは、どの程度のスピードで取引が完了しますか?

取引スピードも、CBDCの設計方式に大きく依存します。 例えば、中央集権型のシステムを採用すれば、既存の決済ネットワークに近いスピードでの処理が可能だと言われています。 一方、より分散型のシステムでは、取引の承認に多少の時間を要するかもしれません。 ただ、ビットコインなどと比べれば、はるかに高速な取引が実現できるはずです。 将来的には、数秒から数十秒程度での取引承認が標準になるのではないでしょうか。

Q5. CBDCの普及で、銀行の役割はなくなるのでしょうか?

確かに、CBDCが普及すれば、銀行の役割は大きく変化すると予想されます。 しかし、銀行の存在意義がなくなるわけではありません。 むしろ、CBDCを活用した新しい金融サービスの提供や、利用者の利便性を高める取り組みなど、銀行には新たな役割が期待されるはずです。 実際、多くの銀行がCBDC関連のプロジェクトに参画するなど、変化に対応しようとする姿勢を見せ始めています。 CBDCの時代にあっても、銀行は私たちの生活を支える重要な存在であり続けるでしょう。

まとめと感想

これまで見てきたように、CBDCは中央銀行が発行するデジタル通貨であり、私たちの金銭的な生活に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。 キャッシュレス化の進展や金融包摂の実現など、社会をよりよい方向に導く力となるかもしれません。 一方で、プライバシーの侵害やセキュリティ上の課題など、克服すべき問題も数多く残されています。

まだ実用化には程遠い段階ですが、各国中央銀行による活発な研究開発が進められていることからも、CBDCへの期待の高まりを感じずにはいられません。 特に、中国やスウェーデンなどの先進的な取り組みは、他国にも大きな影響を与えるはずです。 日本銀行も、デジタル円の実現に向けた実証実験を始めるなど、着実に一歩を踏み出し始めています。

今後、CBDCが本格的に普及していくためには、国際的な協調が不可欠だと考えています。 各国のCBDCを相互に接続し、シームレスな国際送金を可能にするためのルールづくりが求められるでしょう。 また、民間企業やフィンテック企業との連携も重要になってくるはずです。 規制と革新のバランスを取りながら、官民一体となってCBDCという新しい決済インフラを育てていく必要があります。

私は、デジタル通貨の研究に長年携わる者として、CBDCのもたらすインパクトの大きさをひしひしと感じています。 それは、単なる決済手段の変化だけでなく、金融のあり方そのものを根底から覆すような変化の波だと言えるでしょう。 同時に、技術的・制度的な課題の多さに頭を悩ませることも事実です。

ただ、こうした困難な課題とも真摯に向き合いながら、私たちはCBDCの可能性を追求し続けるべきだと考えています。 それは、より利便性が高く、より公正で、よりオープンな金融システムを実現するための挑戦だと言えるからです。 一朝一夕にはいきませんが、世界中の英知を結集することで、必ずやCBDCはより豊かな未来を切り拓く力になるはずです。

これから先、CBDCがどのように進化を遂げていくのか。 政府や中央銀行、民間企業、そして私たち利用者一人一人の選択が、その未来を左右することになるでしょう。 デジタル通貨時代の幕開けに向けて、一緒に考えていきたいと思います。

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